2026年7月26日
労務・人事ニュース
栃木県の令和8年5月有効求人倍率1.12倍、全国1.17倍を下回る採用市場の見方
令和8年5月の栃木県有効求人倍率1.12倍が示す雇用情勢
令和8年6月30日、栃木労働局は令和8年5月分の労働市場のようすを公表しました。県内の雇用情勢については、求人が求職を上回って推移しているものの、物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があるとされています。令和8年5月の有効求人倍率は季節調整値で1.12倍となり、前月から0.01ポイント低下しました。全国平均は1.17倍であり、栃木県は全国平均を下回っています。前月からの低下幅は小さいものの、県内では求人が求職を上回る状況が続く一方で、求人数の動きには弱さが見られます。中小企業の採用担当者は、この1.12倍という数字を「まだ人材不足が続いている」と見るだけでなく、「求職者が増えにくい中で、求人内容や選考対応によって結果が分かれる市場」として受け止める必要があります。
令和8年5月の有効求人数は季節調整値で32,500人となり、前月より0.8%増加しました。一方、有効求職者数は29,000人で前月より1.5%増加しています。求人も求職者も増えていますが、求職者の増加率が求人の増加率を上回ったため、有効求人倍率は前月より低下しました。原数値では、有効求人数が35,085人となり、前年同月比4.1%減少しました。これは35か月連続で前年同月を下回る動きです。求人数の減少が長く続いていることから、企業側には採用を慎重に進める姿勢が広がっていると考えられます。一方で、求人が減っているからといって、採用が簡単になるわけではありません。求職者は複数の求人を比較し、給与や休日、仕事内容、職場環境、通勤のしやすさ、将来の働き方を細かく確認しています。
新規求人倍率は季節調整値で1.95倍となり、前月から0.09ポイント低下しました。直近で新たに仕事を探し始めた人に対して、新たに出された求人が約2倍ある状態であり、採用を始める企業同士の競争は依然として続いています。原数値の新規求人数は11,042人で、前年同月比11.1%減少しました。2か月連続で前年同月を下回っています。新規求職者数は6,282人で、前年同月比9.6%減少しました。求人も求職者も前年より減っているため、採用市場は活発さを欠きつつも、限られた人材をめぐる競争が残っている状態です。中小企業がこの局面で採用を進めるには、求人を出すだけでなく、応募者が知りたい情報を先回りして示すことが重要です。
主要産業別の新規求人を見ると、建設業は1,009人で前年同月比2.2%減となり、3か月連続で前年同月を下回りました。製造業は1,770人で9.3%減となり、3か月ぶりの減少です。運輸業、郵便業は483人で23.2%減となり、2か月ぶりに前年を下回りました。卸売業、小売業は1,048人で21.6%減となり、2か月連続の減少です。宿泊業、飲食サービス業は624人で38.2%減となり、12か月連続で前年同月を下回りました。生活関連サービス業、娯楽業は495人で11.9%減となり、2か月連続で減少しています。サービス業は1,657人で18.1%減となり、2か月連続の減少となりました。多くの産業で求人が減っていることは、企業の採用意欲が弱まっているだけでなく、採用人数を絞りながら必要な人材を慎重に探している状況を示しています。
一方で、医療、福祉は2,812人で前年同月比5.6%増となり、3か月連続で前年同月を上回りました。医療、福祉は県内の新規求人の中でも大きな規模を占めており、地域の生活を支える分野として人材需要が続いています。医療業、社会保険・社会福祉・介護事業などでは、資格や経験だけでなく、勤務体制、夜勤の有無、利用者や患者への対応内容、教育体制、職員同士の連携、身体的負担への配慮が応募判断に大きく関わります。中小規模の事業所が人材を確保するためには、「経験者歓迎」や「資格者優遇」といった表現だけでは不十分です。入職後にどの業務から始め、誰が教え、どのような体制で支えるのかを具体的に伝えることで、求職者の不安を減らすことができます。
製造業については、全体では減少したものの、内訳を見ると業種ごとに動きが分かれています。食料品製造業は120人で20.0%減、金属製品製造業は51人で19.0%減、輸送用機械器具製造業は130人で44.8%減となった一方、電気機械器具製造業は106人で105.9%増、電子部品・デバイス・電子回路製造業は16人で増加しています。栃木県では製造業の集積がある地域も多く、製造職の採用では同業他社との比較が起こりやすくなります。中小企業が製造職を募集する場合、単に「工場内作業」や「製造スタッフ」と書くのではなく、扱う製品、担当工程、機械操作の有無、必要な資格、安全教育、交替勤務の有無、残業の実態を具体的に示すことが大切です。未経験者を採用したい場合は、最初の1か月で覚える業務や教育担当者の存在を明記すると、応募のハードルを下げられます。
雇用形態別では、パートタイムを除く常用の有効求人倍率が0.97倍となり、前年同月の1.03倍から0.06ポイント低下しました。常用的パートタイムの有効求人倍率は1.08倍で、前年同月の1.11倍から0.03ポイント下がっています。正社員有効求人倍率は季節調整値で1.03倍、原数値では0.95倍となり、前年同月より0.01ポイント低下しました。正社員の新規求人数は5,764人で前年同月比7.0%減、月間有効求人数は18,512人で1.0%減となっています。正社員求人では、求職者が求人条件をより慎重に比較しやすい状況です。企業側は「正社員募集」と示すだけでなく、入社後の仕事内容、研修期間、昇給や賞与の考え方、休日、残業時間、転勤の有無、評価制度をわかりやすく伝える必要があります。
求職者側の動向を見ると、新規求職者数は6,282人で前年同月比9.6%減少しました。パートを除く常用では3,733人で7.6%減、常用的パートタイムでは2,535人で12.1%減となっています。就職件数も全数で1,531件となり、前年同月比16.9%減でした。求職者数が減り、就職件数も減っていることは、企業と求職者の条件が合いにくくなっている可能性を示しています。採用担当者は、応募が少ない理由を人口減少や人手不足だけに求めるのではなく、自社の求人票が応募者に伝わる内容になっているかを確認するべきです。仕事内容が抽象的で、給与幅の理由がわからず、休日や残業の実態が見えない求人は、応募前に不安を与えます。
令和8年5月の栃木県の雇用情勢から見ると、中小企業の採用活動では、倍率の数字を自社の求人改善に結びつける姿勢が重要です。有効求人倍率1.12倍は、求人が求職を上回る状態を示していますが、新規求人は前年同月比11.1%減、有効求人数も35か月連続で前年同月を下回っています。求人市場の勢いが弱まる中でも、医療、福祉のように求人が増える分野があり、職種によって採用難易度は大きく異なります。採用担当者は、必須条件と歓迎条件を分け、未経験者を育てられる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材が活躍できる業務を整理することが大切です。応募後は速やかに連絡し、面接日程を柔軟に調整し、選考状況を社内で共有することで、限られた応募者との接点を採用につなげやすくなります。人手不足が続く中、求人募集では掲載媒体の選定だけでなく、応募者管理や採用業務の効率化も重要になっています。採用活動をより円滑に進めたい企業の方は、日本全国どこでも対応可能な採用サイト(ATS)の取り扱いにも対応している当社までご相談ください。
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