2026年7月27日
労務・人事ニュース
京都府の令和8年5月有効求人倍率1.22倍、新規求人9.8%減で中小企業が取るべき対応
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令和8年5月の京都府有効求人倍率1.22倍と産業別求人動向の違い
令和8年6月30日、京都労働局は令和8年5月分の京都府内の雇用失業情勢を公表しました。京都府内の雇用情勢については、緩やかに持ち直しているものの、求人の動きに弱さもみられ、引き続き物価上昇などが雇用に与える影響に注意する必要があるとされています。令和8年5月の有効求人倍率は受理地別の季節調整値で1.22倍となり、前月と同水準でした。全国の有効求人倍率は1.17倍であり、京都府は全国を0.05ポイント上回っています。近畿全体は1.08倍で、京都府は近畿の中でも比較的高い水準にあります。一方、就業地別の有効求人倍率は1.23倍で、前月から0.01ポイント上昇しました。受理地別と就業地別の差は大きくありませんが、府内で実際に働く求人需要は引き続き求職者を上回っており、中小企業の採用担当者は「求人が求職を上回る市場が続いている」と冷静に受け止める必要があります。
令和8年5月の有効求人数は季節調整値で53,308人となり、前月より544人、1.0%増加しました。有効求職者数も43,523人で、前月より217人、0.5%増加しています。求人も求職者も増えたため、有効求人倍率は1.22倍で横ばいとなりました。数字だけを見ると安定しているように見えますが、採用現場では応募者が増えた実感を得にくい企業も少なくないはずです。求職者は給与、休日、勤務時間、仕事内容、勤務地、職場環境、通勤しやすさ、入社後の成長機会を比較しながら応募先を選びます。中小企業は大企業に比べて知名度や採用予算で不利になりやすいため、求人票や採用ページで自社の仕事の中身と働きやすさを具体的に伝えることが重要です。
新規求人倍率は季節調整値で2.33倍となり、前月から0.07ポイント低下しました。新規求人数は18,552人で前月比3.5%減、新規求職者数は7,953人で前月比0.8%減となっています。新たに出された求人も、新たに仕事を探し始めた人も減りましたが、求人の減少幅が大きかったため、新規求人倍率は低下しました。ただし、2.33倍という水準は、新たな求職者1人に対して求人が2件を超える状態であり、直近で採用を始める企業同士の競争は依然として強いといえます。採用担当者は、倍率が下がったから応募が集まりやすくなると考えるのではなく、求職者が限られている中で自社が選ばれる理由を明確にする必要があります。応募後の連絡が遅い、面接日程の提示が少ない、選考結果の案内が遅れるといった対応は、候補者の離脱につながります。
原数値で見ると、令和8年5月の新規求人数は16,023人で、前年同月比9.8%減少しました。新規求職者数も7,809人で、前年同月比2.8%減となっています。求人も求職者も前年より減っていますが、求人の減少幅が大きい点が特徴です。これは企業の採用意欲がなくなったというより、物価上昇、人件費、原材料費、観光需要や消費動向の変化を踏まえ、採用人数や募集時期を慎重に見極める企業が増えている状態と考えられます。中小企業では、欠員が出てから急いで募集するだけでは十分な応募を得にくくなっています。採用が必要になる時期を見越し、あらかじめ求人内容、選考体制、入社後の教育方法を整えておくことが大切です。
産業別の新規求人を見ると、令和8年5月は全産業で前年同月比9.8%減となりました。学術研究・専門・技術サービス業は498人で18.6%増、教育・学習支援業は238人で16.1%増、生活関連サービス業・娯楽業は682人で前年同月と同水準となりました。一方、建設業は1,486人で18.8%減、製造業は1,774人で0.6%減、情報通信業は310人で25.3%減、運輸業・郵便業は970人で10.1%減、卸売業・小売業は1,842人で12.6%減、宿泊業・飲食サービス業は1,266人で9.9%減、医療・福祉は4,507人で8.2%減、サービス業は1,621人で8.1%減となっています。求人が減っている業種では採用競争が弱まったように見えるかもしれませんが、現場の人手不足が解消されたとは限りません。必要な人材は欲しいものの、採用人数を絞りながら慎重に募集する企業が多いと考えるべきです。
製造業では全体として前年同月比0.6%減でしたが、内訳には差があります。食料品、飲料・たばこ・飼料は427人で10.6%増、非鉄金属・金属製品は213人で8.7%増、はん用・生産用・業務用機械等は433人で32.8%増となりました。一方、繊維工業は93人で6.1%減、電子部品・電気機械・情報通信機械は186人で8.8%減、輸送用機械は51人で8.9%減となっています。京都府内の中小製造業が採用を進める場合、「製造スタッフ」「工場内作業」といった表現だけでは、求職者に仕事の実態が伝わりにくくなります。扱う製品、担当工程、機械操作の有無、必要な資格、未経験者への研修、安全教育、交替勤務の有無、残業時間の目安を具体的に示すことが重要です。経験者採用が難しい場合は、未経験者を育てる前提で、最初に任せる作業や教育担当者の存在を明記すると応募の入口を広げられます。
宿泊業・飲食サービス業は1,266人で前年同月比9.9%減となりました。京都府は観光地としての特性が強く、宿泊、飲食、接客関連の求人は季節や訪日客の動向に左右されやすい面があります。求人が減っているからといって、採用しやすくなるとは限りません。この分野では、勤務時間、シフトの柔軟性、土日勤務の頻度、繁忙期の働き方、接客範囲、まかないや研修制度、未経験者へのフォロー体制が応募判断に大きく影響します。求職者は時給や月給だけでなく、生活と両立できるか、長く働ける職場かを見ています。採用担当者は、企業側の都合だけを並べるのではなく、応募者が安心して働ける理由を求人情報に盛り込むことが必要です。
医療・福祉は4,507人で前年同月比8.2%減となりましたが、主要産業の中では大きな求人規模を維持しています。介護、福祉、医療関連の採用では、資格や経験の有無だけでなく、夜勤の有無、勤務体制、利用者や患者への対応内容、教育担当者、資格取得支援、職員同士の連携、身体的負担への配慮が応募判断に直結します。求人票に「未経験歓迎」「資格者優遇」と書くだけでは、求職者の不安は解消されません。入職後にどの業務から始めるのか、誰に相談できるのか、研修期間はどの程度かを具体的に示すことで、未経験者やブランクのある人も応募を検討しやすくなります。人手不足が続く分野ほど、採用情報の誠実さが信頼につながります。
求職者側の動向を見ると、令和8年5月の新規求職者は7,809人で前年同月比2.8%減少しました。常用フルタイムを希望する新規求職者は4,304人で1.4%減、常用パートタイム希望者は3,461人で4.5%減となっています。態様別では、在職者が1,660人で6.3%減、離職者が5,276人で1.4%減、無業者が829人で4.5%減でした。離職者のうち、事業主都合離職者は1,250人で0.9%減、自己都合離職者は3,551人で2.5%減となっています。在職中に転職活動を始める人が減っている点は、経験者採用を考える中小企業にとって重要です。在職者は現在の職場と比較しながら応募先を選ぶため、給与だけでなく、残業の少なさ、休日の取りやすさ、通勤しやすさ、職場の雰囲気、仕事の裁量、将来の役割を具体的に伝える必要があります。
正社員の求人・求職状況を見ると、令和8年5月の正社員有効求人倍率は0.95倍となり、前年同月から0.04ポイント低下しました。正社員有効求人数は24,232人で前年同月比0.1%減、正社員有効求職者数は25,416人で4.0%増となっています。正社員求人は求職者を下回る水準ですが、企業側が簡単に採用できるという意味ではありません。求職者は正社員という雇用形態だけで応募を決めるのではなく、仕事内容、給与、賞与、昇給、休日、残業、転勤の有無、評価制度、教育体制を総合的に見ています。中小企業が正社員を募集する場合は、安定雇用に加えて、入社後にどの仕事を任せるのか、どのように育てるのか、どのような役割を期待しているのかを明確に示すことが必要です。
公共職業安定所別の有効求人倍率を見ると、京都西陣は1.10倍、京都七条は1.10倍、伏見は1.25倍、宇治は1.22倍、京都田辺は0.67倍、福知山は1.43倍、舞鶴は1.29倍、峰山は1.58倍となっています。南部計は1.09倍、北部計は1.43倍で、京都府内でも地域によって採用環境は大きく異なります。京都市内や南部では求職者数も多い一方、北部では求人倍率が高く、企業間の人材獲得競争が強まりやすい状況です。採用担当者は府全体の1.22倍だけで判断せず、自社の勤務地周辺の倍率、通勤圏、交通手段、車通勤の可否、勤務開始時間、転勤の有無を踏まえて求人内容を整えるべきです。地域で長く働ける安心感は、中小企業にとって大きな訴求材料になります。
令和8年5月の京都府の雇用情勢から、中小企業の採用担当者が取るべき方向性は明確です。有効求人倍率1.22倍は求人が求職を上回る状態を示し、全国平均も上回っています。一方で、新規求人数は前年同月比9.8%減、新規求職者も2.8%減となっており、採用市場に新しく動き出す人材は限られています。採用担当者は、まず自社が本当に必要とする人材像を整理し、必須条件と歓迎条件を分けることが重要です。未経験者を育成できる業務、短時間勤務でも任せられる業務、シニア人材やブランクのある人が活躍できる業務を切り分ければ、応募対象は広がります。求人票では、仕事内容、給与、休日、残業、教育体制、職場環境、選考の流れを具体的に示し、応募後は迅速に連絡することが採用成功につながります。採用競争が続く中で、求人募集を効果的に行うには、求人情報の発信に加えて応募者対応や採用管理の仕組みづくりも欠かせません。求人募集や採用サイト(ATS)の活用をお考えの企業様は、当社までお気軽にご相談ください。
⇒ 詳しくは京都労働局のWEBサイトへ


